性能の考え方とその試験方法についてGuide Wires
Tip load | 先端荷重
Tip loadとはワイヤー先端の「もっと柔らかく、もっと硬く」というドクターの感覚的情報を、物理特性に変換しグラム数で数値化したものです。
試験方法
水に濡らしたワイヤー先端10㎜を固定し、センサーに押し付け、ワイヤが折れ曲がる時点の加重値を測定します。
Tip loadが高いガイドワイヤー
- コアが太くTorque forceが強い
- ワイヤー先端の柔軟性が低く、直進しやすい
Tip loadが低いガイドワイヤー
- コアが細くTorque forceが弱い
- ワイヤー先端の柔軟性が高く、血管や病変からの抵抗を受けて進行方向が変わる
Tip end design | 先端チップデザイン
ガイドワイヤー先端に付けるボールチップを生産段階で加工し、ガイドワイヤーのコンセプトに合わせて穿通力のパフォーマンスに差を出しています。
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Round tip
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Micro-cone tip
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Blunt tip
Coil design | コイルデザイン
コイル最先端の外径を指します。朝日インテックのフォーミング技術によりコイルの外径を徐々に調整することができ、それぞれのガイドワイヤーの特長に合わせて設計されています。
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Straight
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Tapered coil
Lubricity | 滑り性能
ガイドワイヤーを押し進める際に血管や病変から受ける抵抗を低減させる性能。コーティング素材によって影響度が変わります。
試験方法
おもりをガイドワイヤーの上に乗せ、ガイドワイヤーを押し引きした時の抵抗を測ります。
3つのコーティング
Lubricityが高いと…
- 血管や病変から受ける抵抗を抑えるため、狭いルートでも進みやすい
- 拍動などで意図せずワイヤー先端が動いてしまう可能性がある
Torque response | トルクレスポンス
ガイドワイヤーを手元で回した回転の力が、ガイドワイヤー先端まで伝わる早さ、いわゆる立ち上がりの早さを指します。
試験方法
屈曲させたチューブの中にガイドワイヤーを通し、ガイドワイヤーを回した際のワイヤー先端の動きを計測します。
Torque responseが良いと…
- ガイドワイヤーを回すと先端がリニアに回りやすい
- 意図したワイヤー操作が可能
Torque responseが悪いと…
- 必要以上にガイドワイヤーを回しすぎてしまう
- トルクが溜まりガイドワイヤー先端が跳ねるような動き(Whip motion)を起こしてしまう
Torque force | トルク力
ガイドワイヤーを手元で回した回転の力が、減衰せずにガイドワイヤー先端まで伝わる性能を指します。
試験方法
ガイドワイヤーの先端を固定し、手前側を回転させたときの先端に伝わる力を計測します。
Torque forceが強いと…
- 病変にトラップされずにワイヤー操作ができる
Torque forceが弱いと…
- 病変にトラップされ、回し続けるとガイドワイヤーが破断してしまうリスクがある
Shaft support | シャフトサポート性
試験方法
ガイドワイヤーを固定し、先端から3㎝~55㎝においてシャフトがキンクする限界点を計測します。
Shaft supportが高いと…
- ガイディングカテーテルのバックアップをサポートする
- 血管を伸展させてデバイスのデリバリーが容易になる
Shaft supportが低いと…
- 血管に負荷をかけず血管走行に沿ってガイドワイヤーを進められる
Tip flexibility | 先端柔軟性
ガイドワイヤー先端3㎝の横方向に対する柔軟性を評価したものです。
試験方法
チューブ内に入れたGWをチューブの先端から出していき、それぞれの測定ポイントにセンサーを当てた状態で一定荷重をかけます。ガイドワイヤーが一定角度に屈曲した時の荷重を測定します。
Tip flexibilityが良いと…
- 血管壁に当たった際に傷つけにくい
- 硬い病変に侵入しづらい
Tip flexibilityが悪いと…
- 血管壁を傷つけてしまうリスクが上がる
- 硬い病変に当たっても進行方向に進みやすい